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咬合性外傷について

咬合性外傷とは
咬合性外傷とは、歯に加わる咬合力(噛む力)が、歯や歯周組織の許容範囲を超えて加わることで生じる病的変化を指します。通常、歯や歯周組織には一定の力に耐える生理的な適応能力が備わっています。しかし、力が過剰であったり方向が不適切であったりすると、その許容量を超えて組織が損傷し、歯の動揺や歯周病の増悪など、さまざまな問題が引き起こされます。
咬合性外傷は歯周病と混同されることもありますが、咬合性外傷単独では歯槽骨を溶かすことはないとされ、主に機械的なストレスによって歯周組織に変化を生じさせます。一方、歯周病が存在する場合には、咬合性外傷が歯周組織の破壊を促進し、症状を重くすることが特徴です。
咬合性外傷の分類
咬合性外傷は一般に次の2種類に分類されます。
1. 一次性咬合性外傷
健康な歯周組織に、過度な咬合力が加わることで発生するタイプです。
例:
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高すぎる被せ物
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部分的に強く当たる噛み合わせ
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食いしばりや歯ぎしりによる過剰な力
健康な歯槽骨や歯肉を持つ人でも、過剰な力が繰り返し加わることで、歯の動揺や歯根膜の肥厚などの問題が起こります。
2. 二次性咬合性外傷
歯周病などにより、すでに歯周組織が弱っている状態で、通常の咬合力でも外傷が生じるタイプです。
歯周病によって骨が吸収していると、わずかな力でも歯が動揺しやすく、外傷性の変化を起こします。
咬合性外傷の原因
咬合性外傷はさまざまな要因によって引き起こされます。
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噛み合わせの異常
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部分的な早期接触
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高すぎる補綴物(被せ物、詰め物)
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位置のずれた歯
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ブラキシズム(歯ぎしり・食いしばり)
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就寝中の歯ぎしり
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ストレスによる無意識の食いしばり
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歯の欠損
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失った歯があることで、残った歯に過度な負担が集中する
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歯周病による支持組織の減弱
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二次性咬合性外傷につながる
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咬合性外傷の症状
咬合性外傷の症状には次のようなものがあります。
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歯の動揺(グラグラする)
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噛んだときの不快感や痛み
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歯根膜の肥厚による歯の浮いた感じ
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歯周ポケットの深化
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歯肉退縮
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歯の破折や亀裂の形成
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顎関節症の誘発や悪化
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頭痛、肩こりなどの全身症状(ブラキシズムが関連する場合)
特に、噛んだときに一部の歯だけが強く当たるような状況が続くと、その歯に痛みが生じたり、歯周組織に炎症が生じやすくなります。
診断方法
歯科医院では以下のような方法で咬合性外傷を診断します。
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咬合紙やデジタル咬合分析による噛み合わせの確認
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動揺度の測定
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レントゲンによる歯根膜の肥厚や骨の状態の評価
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歯ぎしりの痕跡(咬耗)の確認
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口腔内写真や模型による確認
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顎関節の状態のチェック
これらを総合的に評価して、咬合性外傷の有無や重症度を判断します。
治療方法
咬合性外傷の治療は、原因となる噛み合わせや力の問題を取り除くことが基本です。
1. 咬合調整
高い部分を削り、均等な噛み合わせに整えることで、力の偏りを減らします。
2. 補綴物の再製作
被せ物や詰め物の高さが原因の場合は、新しく作り直すことで噛み合わせを改善します。
3. ナイトガード(マウスピース)
夜間の歯ぎしり・食いしばりを緩和し、歯や顎へのダメージを抑えます。
4. 歯周治療
二次性咬合性外傷の場合は、歯周病の治療が必須。
歯周組織の改善により、咬合の負担が減ります。
5. 咬合再構成
欠損歯が多い場合、噛み合わせ全体を再構築する必要があります。
インプラント・ブリッジ・義歯などを用いて、咬合力を適切に配分します。
予防方法
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定期的な歯科検診
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日常的なブラキシズムのコントロール(ストレス管理も含む)
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正しい姿勢や噛み癖の改善
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ナイトガードの継続使用
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高い補綴物を感じたらすぐに歯科医へ相談
まとめ
咬合性外傷は、歯そのものだけでなく、歯周組織、顎関節、さらには全身にまで影響を与えることのある問題です。特に、ブラキシズムや噛み合わせの異常がある人は発症リスクが高まります。早期の発見と適切な対応により、症状の悪化を防ぐことができますので、違和感を覚えたら早めに歯科医に相談することが重要です。
監修者情報

こばやし歯科医院
〒185-0012
東京都国分寺市本町2-9-21
Tel:042-400-2004
院長 小林 達也
| 経歴 | 日本歯科大学新潟生命歯学部 卒業 日本歯科大学新潟生命歯学部 臨床研修 医療法人社団幸誠会たぼ歯科医院 勤務 国家公務員共済組合連合会立川病院 歯科口腔外科 非常勤勤務 こばやし歯科医院 開院 |
|---|---|
| 資格 | 日本歯周病学会 専門医 臨床研修指導医 |