歯周病専門医による
インプラント治療
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- 歯周病専門医によるインプラント治療
長持ちさせるやり直しの少ないインプラント

欧米、特にインプラント治療が進んでいるアメリカでは、歯周病専門医がインプラント治療を担当することが一般的になりつつあります。アメリカ歯周病学会(AAP)も「インプラント治療は歯周病専門医が行うべき」という方針を明確にしています。
インプラント治療が失敗に終わる最大の理由はインプラント周囲炎が原因で、歯槽骨が失われるためです。
インプラント周囲炎はインプラント脱落の主な原因であり、まずその病気を防がなければインプラントをしても長持ちしません。
つまり、インプラント治療を成功させるには、単に人工の歯を入れる技術だけでなく、歯周組織の評価と管理が必須であり、それができるのが歯周病専門医なのです。
インプラント周囲炎について
インプラント周囲炎とは

インプラント周囲炎とは、インプラントを支える周囲組織に炎症が生じる疾患です。歯周病と同じく細菌感染によるもので、インプラントの表面に付着したプラークが原因となります。
インプラントは、骨に埋まった深部と歯肉に接した浅部に分けられますが、清掃が不十分になるとインプラント表面に細菌が増殖し、初期には歯肉部分で炎症が起こり、進行すると深部の骨組織まで炎症が及びます。細菌はサイトカインという毒素を放出し、炎症反応を引き起こして歯槽骨を破壊します。
インプラント周囲粘膜炎とは
インプラント周囲粘膜炎とは、インプラントを支える骨には影響が及んでいない状態で、インプラント周囲の歯肉に炎症が起こっている状態を指します。これは天然歯でいえば歯肉炎に相当するものです。
この段階では骨の吸収は見られないため、清掃によって健康な状態に戻すことが可能です。しかし、放置すると炎症が進行し、やがて歯槽骨を巻き込んだインプラント周囲炎へと移行してしまうため、この段階での早期発見、対応が大切になります。
予防が重要な理由
インプラント周囲炎の予防が重要なのは、インプラントを健康に保つことよりも、インプラント周囲炎発症後に治す方がはるかに困難だからです。
インプラントは血流や免疫機能が限られており、一度骨の吸収が始まると自然治癒しにくくなります。また、炎症によってインプラント表面の微細な凹凸に細菌が付着すると、それを完全に除去することが難しくなり、治療の予後が不確実になってしまいます。
そのため、インプラント周囲炎にならないように予防することが最も重要であり、初期段階であるインプラント周囲粘膜炎のうちに対処することが治療成功への鍵となります。
早期発見対応は大切になります。
インプラントと天然歯の
違いについて
歯根膜の欠如による血流・免疫の制限について

天然歯は歯根膜を介して歯槽骨とつながっており、歯根膜、骨膜の二方向から血流が供給されます。
一方、インプラントにはこの歯根膜が存在せず、骨膜からのみ血液が供給されるため、血流が少なく、免疫作用及び再生能力が不十分になりやすいです。その結果、インプラント周囲炎が生じやすく、治癒しにくいといわれています。
コラーゲン繊維の構造と役割
コラーゲン繊維は歯肉や歯周組織の支持構造を形成し、細菌の侵入を防ぐバリアとして重要な役割を果たします。
天然歯周囲のコラーゲン繊維の走行が水平、垂直の二方向からであるのに対し、インプラントは並行方向のみの走行になります。そのため、天然歯の歯肉に比べると、外からの刺激に対して防御機能が弱いため炎症リスクが高くなります。
線維芽細胞が少なくコラーゲン繊維が多い
インプラントを行う上で、まずインプラントと天然歯の違いを理解する必要があります。
インプラント周囲の組織は天然歯周囲の組織に比べて結合組織中の線維芽細胞が少なく、コラーゲン繊維の量が多いのが特徴です。
そのため、天然歯の周囲粘膜に比べて代謝が弱く、炎症が生じやすく、治療が難しいことがあります。
インプラント治療を始める前に知っておきたいこと

インプラント治療を受ける際には、インプラントシステムの選択やご自身の健康状態を踏まえた判断が必要です。特に歯周病リスクが高い方や全身疾患をお持ちの方は、それらの基準も加味してインプラント治療を選択する必要があります。
当院では、インプラント周囲炎を防ぐための設計・管理を重視し、インプラント周囲炎になりにくい治療を行っています。
インプラント周囲炎になりにくい治療について
マイクロムーブメントとは
インプラント体とアバットメント(インプラント体と人工歯の連結部)との接合部分に生じる微細な隙間をマイクロギャップと呼びます。噛む力や歯ぎしりなどの力により、マイクロギャップがわずかに開閉することをマイクロムーブメントと呼びます。
マイクロムーブメントはインプラントに影響を及ぼすといわれています。
➀ 細菌の漏洩(ろうえい)
マイクロギャップに細菌が漏れ出し、インプラント周囲に影響を引き起こす可能性があります。
② 骨吸収
インプラント周囲の骨に負担をかけ、骨吸収を引き起こす可能性があります。
マイクロムーブメントを最小限に抑えることができるインプラント体とアバットメントの接合様式としてコニカルコネクションがあります。
コニカルコネクションは、インプラント本体とアバットメントの接合部に円錐状の形状を持たせる構造を持たせることで、強固な密着性が得られるようにするものです。
当院では、マイクロムーブメントが起きにくいインプラントを選択することで、予後の良い治療を行います。
プラットフォームスウィッチングとは
プラットフォームスウィッチングとは、インプラント本体とアバットメントとの接合部を、骨縁から内側にオフセットさせる構造設計のことです。この構造により、接合部への細菌の侵入リスクを減らし、インプラント周囲の骨吸収を抑えることが可能になります。
本来、インプラントの接合部には微小な隙間があり、そこに細菌が侵入することでインプラント周囲炎が引き起こされることがあります。プラットフォームスウィッチングによりこの隙間が骨縁から離れるため、感染や炎症のリスクが減り、長期的な骨の安定につながります。
全身状態への配慮

インプラント治療は口腔内だけでなく、全身の健康状態にも大きく影響を受けます。糖尿病、心疾患、骨粗鬆症などの持病や、喫煙、飲酒の習慣がある場合は、免疫機能が低下し、感染リスクや骨結合の成功率が下がることがあります。
全身疾患の影響を正確に評価しながら、患者様一人ひとりに合わせた治療を行ってくれる歯科医院を選ぶことが大切です。
インプラント治療を成功させる為の「診断力」と「治療設計」

インプラント治療を成功させるために、手術前後に発生しうるリスク要因を考慮しながら治療を進めます。適切なインプラントの位置決め、長期的に見た清掃性への配慮などが求められます。
診断と治療設計において特に重要になる点が以下です。
インプラントポジションの
重要性
インプラントをどこに、どの深さで埋入するかはインプラントの長期安定性においてとても重要となります。歯科医師は、骨の量、質、幅、咬合の関係、隣接歯との位置関係などを細かく分析し、下歯槽神経や上顎洞を避けながら、一番最適な位置にインプラント埋入を行います。
十分な骨幅の保たれていない部分でのインプラント埋入は骨吸収の原因と言われています。
また、正確な位置にインプラントを埋入するために、術前のCT画像を用いたサージカルガイドによるガイドサージェリーを行うこともあります。精密な術前シミュレーションによって、テクニカルエラーを最小化し、再現性の高い治療が可能になります。
角化歯肉の重要性
インプラント周囲組織における角化歯肉の幅は、インプラント治療の長期的予後に影響を及ぼす可能性があるといわれています。臨床研究から、角化歯肉の幅が2mm以上あると清掃性が良好となり、プラークコントロールが容易となるため、インプラント周囲炎の発生リスクが低下することが示されています。
逆に、角化歯肉の幅が2mm未満の場合は、口腔内環境維持しにくいケースもあるとされています。
そのため、角化歯肉が不足しているケースでは歯肉移植を行うことで、インプラントを安定化させることが可能です。その他にも前歯部のインプラント治療においては結合組織移植術を併用することで自然で審美的な前歯を再現します。このような歯周組織に精通した歯周病専門医によって行われることが理想です。
骨の状態を定期的にチェックする重要です。
インプラント治療後の
アフターケア

インプラント周囲炎は、手術後のケアが不十分であれば容易に発症します。一部分だけの管理ではなく、口腔内環境全体を管理することで、長期にわたる安定性が得られます。
骨の状態を定期的にチェックする
インプラントを長く安定させるには、歯肉や歯槽骨の変化を早期に捉えて対応することが重要です。歯周病専門医は、インプラント周囲だけでなく口腔全体の歯周組織を総合的に診査し、将来的なリスクを見据えた予防管理を行います。
3ヵ月ごとの定期メンテナンスではレントゲンなどで骨の状態を確認し、もし異常な吸収がみられた場合には早期に処置を行うことで、インプラントの脱落を防ぎます。
清掃補助用具の使用
日々のセルフケアも、インプラントを守る大切な要素です。歯ブラシに加え、デンタルフロスや歯間ブラシなどの清掃補助用具を使うことで、清掃効率が向上します。歯科医院の指導を受け、正しい使い方を身につけることで、インプラント周囲炎の予防につながります
インプラント治療の
よくある質問
- Qインプラント治療は誰でも受けられますか?
- A基本的には健康な方であれば可能ですが、重度の糖尿病や骨粗しょう症、喫煙習慣がある方は制限される場合があります。詳しい検査をして可能かどうか調べる必要があります。
- Qインプラント周囲炎にかからないため、長持ちさせるためには?
- Aインプラントを長く使っていただくためには、インプラント周囲炎の予防が重要です。
毎日の丁寧なセルフケア、喫煙を控えるなど、これらを意識していただくことで、周囲炎を予防しインプラントを長持ちさせることができます。また、歯科医院での定期的なプロフェッショナルケアを受けることで、インプラントの状態を継続的にチェックでき、トラブルの早期発見につながります。
- Q治療期間はどれくらいかかりますか?
- A一般的には、インプラント治療は6ヵ月から1年程度かかるのが目安です。ただし、骨の量や質によっては前処置が必要となり、治療期間が前後することもあります。正確な期間はしっかりと検査を行ったのちに設定されます。個別にご説明いたします。
- Qインプラント治療の費用はどのくらいですか?
- A1本あたり60万円〜70万円程度が目安です。使用する材料や治療内容によって異なります。保険適用外の自由診療となるため、事前に見積もりをご確認ください。
- Qインプラントの寿命はどれくらいですか?
- A
一般的に、インプラントの10年後の残存率は92〜95%と報告されています。しっかりと管理されたインプラントであれば20年以上機能することもあります。定期的な検診で長くインプラントを使いましょう。
https://www.mhlw.go.jp/seisakunitsuite/bunya/kenkou_iryou/iryou/shika_hoken_jouhou/dl/01-01.pdf
(厚生労働省 歯科インプラント指針より)
- Q他院で骨量が少ないといわれて断られましたが、インプラントはできますか?
- A骨の量が不足している場合でも、骨造成という処置を行うことで、インプラント治療が可能になるケースがあります。他院で難しいといわれた方も、ぜひ一度ご相談ください。
インプラント治療を成功に導くために

インプラント治療は、術前準備から手術、術後のアフターケアがしっかりと行われて、初めて成功します。
事前準備としての歯周病治療や口腔内環境の改善は、手術時のリスクを抑え、インプラント成功率をよくします。手術時においては、感染管理や適切なインプラント埋入位置、角化歯肉の確保などを行うことで、インプラント周囲炎のリスクを減らせます。術後のアフターケアでは、歯周病専門医および歯科衛生士が口腔内の状態を良好に保ち処置や指導を行います。
万が一のトラブルにも即座に対応できる体制を整えることで、患者様が治療後も安心してインプラントを使い続けられるようにフォローアップします。
一連の治療をトータルで管理し、それぞれの段階で最善の医療を提供する歯周病専門医による治療管理は、インプラントを安心してご利用いただくための良い選択といえるでしょう。